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      <title>lost + found</title>
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      <description></description>
      <language>ja</language>
      <copyright>Copyright 2010</copyright>
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            <item>
         <title>一番星、黒猫、および、僕</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://weblog.seki.net/image/20070212_0012_w.jpg">
<br/>

その日、僕は黒猫と一緒に、とぼとぼと日暮れ時の道を歩いていた。
いつもの駐車場をショートカットする道だ。

　　・・・

<blockquote>「一番星。」</blockquote>

僕は、一番星を見つけて、しばらく立ち止まっていた。

<blockquote>「あんなに近く見えるけど、本当はすっごい遠いところにあるんだぜ。」</blockquote>

黒猫は退屈そうに前足を舐めながらそう言った。

<blockquote>「うん、しってる。」</blockquote>

<blockquote>「宝石と違って掌に載せたりすることもできないんだ。」</blockquote>

<blockquote>「うん、それもしってる。」</blockquote>

<blockquote>「じゃあ、なんでそんなに嬉しそうにしているんだい？」</blockquote>

　　・・・

黒猫はしばらくじっとしていたけど、駐車場の隣の石垣を駆け上がって垣根の向こうに消えていった。垣根をくぐるとき、ちら、とこちらを見たけど、何も言わずにそのまま帰っていった。
まだ、僕は一人でじっとしていた。

<blockquote>「あんたの人生だ。あんたの好きにするがいいさ。」</blockquote>

黒猫がどこかでそう言ってるような気がした。

　　・・・

<blockquote>「僕は一番星を見つけたことが嬉しいんだよ。」</blockquote>

僕は、荷物を持って歩き始めることにした。
僕にだってまだできることはあるさ。
君だってそう思うだろう？

僕はダウンのジッパーを一番上まで上げて、急に冷たくなった風が入らないようにして早足で歩いた。

空はどんどん暗くなり、一番星はもっとはっきり見えるようになった。

二番目の星はまだ見えない。


　　・・・

※ このブログは<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に不定期で掲載しています。
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         <link>http://lost-and-found.seki.net/2010/01/post_19.html</link>
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         <category>止まない雨はない</category>
         <pubDate>Sat, 30 Jan 2010 22:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>静かの海</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://weblog.seki.net/image/20071022_M0004.jpg">
<br/>
ずいぶん寒くなりましたね。

今日は月がきれいです。
静かの海ではもっと寒いでしょうね。
風邪などひいていませんか？

　　・・・

あなたの言葉ひとつひとつが、僕にとってはとても大切なものでした。
もらった言葉に傷がついたり、無くなったりしないように、僕の中にあるやわらかな布地でできた袋にひとつひとつしまって、今も大切にしています。

　　・・・

今日はとても月がきれいです。

風邪などひかぬよう、気を付けてください。

それでは、また。
]]></description>
         <link>http://lost-and-found.seki.net/2009/11/post_12.html</link>
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         <category>冬晴れ</category>
         <pubDate>Tue, 24 Nov 2009 21:40:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>でこぼこ</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://weblog.seki.net/image/20071102_C0010vs.jpg">
<br/>

僕たちはどちらかと言えば外出するより部屋にいる方を好んでいたので、週末はいつも部屋でごろごろしていた。だから、近所のお散歩が休みの日の僕たちの最大のイベントだった。

お散歩といっても、近所をぶらぶらして、写真を撮り、公園でノラネコとハトを見ながら自販機で買った飲み物を飲むくらいだったけど、それだけでとても満たされた気持ちになれた。
僕らは近所を一通りパトロールし終わると、いつも公園の入り口にある自販機で飲み物を買った。

　　・・・

僕がポケットから小銭を出して自販機に入れていると、それを見て君が言った。

<blockquote>「いつも思うんだけど、ちょうどの金額しか持ってこないの？」</blockquote>

<blockquote>「うん。だって邪魔だもん。」</blockquote>

<blockquote>「もし、受け付けてくれないコインがあったらどうするの？」</blockquote>

<blockquote>「ほんとだね！」</blockquote>

僕が感心してそういうと、君はあきれ笑いをしながら、なにそれ、と言った。

<blockquote>「あなたって、すごく良く考えていることもあるのに、びっくりするくらい何も考えていないところもあるよね。」</blockquote>

僕は、照れ笑いをしながら、温かい烏龍茶のペットボトルを取り出し口から出してキャップを開け、君に渡した。君は、ありがとう、と言ってから、僕をじっと見て言った。

<blockquote>「あなたって、本当にでこぼこよね。」</blockquote>

　　・・・

僕たちは公園に続く小経を縦に並んで歩いた。

でごぼこで、いびつな形の僕は、躓かないように注意しながら、君と青空と茶色くなった葉っぱが少しだけ残る公園の木を順番に見ながら、歩いた。

さっきまで真っ青だった空には、少しだけすじ雲がかかっていた。

僕たちの秋は、そうやって少しずつ冬に向かって進んでいた。

その冬は、最後の “いつもどおりの冬” になった。

　　・・・
　

※ このブログは<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に不定期で掲載しています。
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         <link>http://lost-and-found.seki.net/2009/11/post_25.html</link>
         <guid>http://lost-and-found.seki.net/2009/11/post_25.html</guid>
         <category>最初の冬、最後の春</category>
         <pubDate>Wed, 11 Nov 2009 15:11:57 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>僕たちの真実</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://weblog.seki.net/image/ship_in_the_beam.jpg">
<br/>


　　・・・

君の古い記憶が、真実かどうかは、僕には分からない。

街外れにある図書館に行って、司書のねずみに訊いてみるといいかもしれない。
その図書館には世界中の記憶が全部載っている古い本があるそうだから。

その本から、君の古い記憶を小さな小瓶に写し取ったら、川沿いに歩いてゆこう。
河が海につながるところまで来たら、小瓶を開けて流すんだよ。

君の古い記憶は、さら、さら、と静かに海に消えていく。

君の記憶や、君の真実は、海の中で薄く薄く、広く広く、でも確実に広がってゆく。
魚や海亀や鯨は、君の記憶を共有するんだ。

そうして、君は回復してゆく。
きっとね。
　　
　　
　　・・・


※ このブログは<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に不定期で掲載しています。
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         <link>http://lost-and-found.seki.net/2009/10/post_16.html</link>
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         <category>止まない雨はない</category>
         <pubDate>Fri, 23 Oct 2009 21:20:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>暑い夏の終わりに。</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://weblog.seki.net/image/2060927_0001_sad_fine_day.jpg">
<br/>

　　・・・

とても暑い日だった。
僕は車をパーキングロットに停めて、大通りに繋がる細い路地を歩いていた。

晴れた日にこの路地を上を見ながら歩くのが僕は好きだ。
路地では両端のビルの形に合わせて細長くなっていた空が、大通りに出た瞬間に開放される。

周りの空気が薄くなったような気がするほど爽快で広い空。

「この景色を見たら、君はなんて言うだろう？」

今はその答えは聞けない。
でも、君は僕と同じ宇宙に今も存在してくれている。
今は無理でも、また聞けるかもしれない。
それだけで充分だ。

　　・・・

僕は、街路樹の影に入って、信号が青に変わるのを待っている。

ふと、信号の向こう側で、僕を見つけた君が大きく手を振っているのが見えるような気がして、僕は頭の中が真っ白になった。

信号は青に変わったけど、僕は立ちすくんでいた。

僕は暑い夏の終わりに放り出されたまま、動けずにいた。


　　・・・

※ このブログは<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に不定期で掲載しています。
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         <link>http://lost-and-found.seki.net/2009/09/post_15.html</link>
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         <category>夏なんです</category>
         <pubDate>Sun, 27 Sep 2009 01:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>君と歩いた夜道の街灯と、君が教えてくれたこと</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://weblog.seki.net/image/20061228_0012.jpg">
<br/>

　　・・・

僕たちはあまり外食をしないほうだったけど、夏の夜には地酒を出す居酒屋にも行ったりした。

居酒屋の帰りはいつも、少し涼しくなった風に当たりながら、人がいなくなった古い商店街をテクテク歩いた。

まばらにある街灯の古い蛍光灯は随分頼りなさげだったけど、僕は君とこの夜道を歩くのが好きだった。コインランドリーの大きなガラス戸の光でさえ、とても優しく涼やかに感じた。

電信柱にかかっている変わった看板を僕が不思議そうに見ていたら、

<blockquote>「それはね、仲人をやっているお店なのよ。ここではそういう風に言うの。」</blockquote>

と君は教えてくれた。

君は他にもいろいろなことを教えてくれた。
仕事のこと、会社への往き帰りに出会った人たちのこと、会社の裏の隙間に住む野良猫のこと。
夜道で君が教えてくれることのひとつひとつが僕にとっては宇宙の一大法則だった。

僕は夜道を歩きながら、よく空を眺めた。
狭い路地から覗く、狭い夜空には星がポツポツと光っていた。

　　・・・

どうして僕はこんなことを思い出すのだろう。
今でも僕の頭上には星が光っているのに。
どうして僕はこんな気持ちになるんだろう。
　
どうして僕は今ここにいるんだろう。
　　
　　・・・

※ このブログは<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に不定期で掲載しています。]]></description>
         <link>http://lost-and-found.seki.net/2009/09/post_11.html</link>
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         <category>夏なんです</category>
         <pubDate>Sun, 06 Sep 2009 20:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>ドーナッツ</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://weblog.seki.net/image/half_doughnut.jpg">
<br/>

　　・・・

そうだ、一緒にドーナッツ屋さんに行こうよ。

コーヒーを飲んで、二人でドーナッツを食べよう。
　
君はピーナッツクランチ、僕はシナモン。
　
一口かじったドーナッツを顔の前に持ってきて、じっと眺めてる君を見て、僕が言う。

<blockquote><p>「今、『ドーナツが丸くてホントに良かった』とか言おうとしたでしょ」</p></blockquote>

<blockquote><p>「まぁ、そんなところね。どうして？」</p></blockquote>

<blockquote><p>「なんとなく、わかるんだ。」</p></blockquote>

<blockquote><p>「変な人。」</p></blockquote>

君はそういってから、僕を見て

<blockquote>「でもね、ドーナツが丸くなかったら、世界も違っていたと思うのよ。」</blockquote>

と言う。

<blockquote>「わかるよ。そういう風に考えるところも好きなんだ。」</blockquote>

僕がそういうと、君は笑いながら、

<blockquote>「私も変だけど、あなたはやっぱり相当変だわ。」</blockquote>

と言う。やっぱり、君の笑顔は素敵だな、と僕は思う。

<p></p>
<p></p>

そういう感じのドーナッツ屋さんが僕は好きです。

<p></p>
<p></p>


　　・・・

※ このブログは<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に不定期で掲載しています。]]></description>
         <link>http://lost-and-found.seki.net/2009/08/post_26.html</link>
         <guid>http://lost-and-found.seki.net/2009/08/post_26.html</guid>
         <category>乾いた風の吹く日に君と</category>
         <pubDate>Wed, 05 Aug 2009 23:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>アイスコーヒーによって導かれる記憶の輪郭について</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://weblog.seki.net/image/20070514_P0022.jpg">
　
　
　 ・・・

どうしてもアイスコーヒーが飲みたくなったので、切らしていた豆を買出しに出た。
家に戻った僕はコーヒー豆を挽いて落とし、氷を一杯入れた銅のマグカップに注いだ。
氷がカップの中で「ちりちり」と音を立てて解けた。


アイスコーヒーを三分の一くらい飲んでから、僕は床に寝転がり、目を閉じて、あの年の夏を思い出していた。

光はどこまでも白くて、空はどこまでも青くて、君はどこまでも素敵だった。

こうしていると、目を開けたら隣に君がいて、凍らせたタオルを僕の額にあてて、「気持ちいいでしょ？」って笑っているんじゃないか、って思えるくらいに今でもはっきりとした輪郭を持って戻ってくる。


少し風が出てきたのかな。
レースのカーテンがさらさらと音を立ててるのが聞こえる。

網戸越しに入ってくる風は、少し夕立の匂いがした。
　　

　　・・・

※ このブログは<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に以前掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に不定期で掲載しています。]]></description>
         <link>http://lost-and-found.seki.net/2009/07/post_9.html</link>
         <guid>http://lost-and-found.seki.net/2009/07/post_9.html</guid>
         <category>夏なんです</category>
         <pubDate>Mon, 27 Jul 2009 10:02:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>最高の夏のランチ、あるいは、カリフォルニア・ガール</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://weblog.seki.net/image/20080628_F1709.jpg"><br/>
　
　
その年の僕の夏は、デイヴ・リー・ロスの歌う「カリフォルニア・ガール」で始まった。

僕は、単位を 2 つだけ残して留年していて、週に 1 回大学に行けばいいだけ、という暮らしを半年していた。仕送りを止められていたので、なるべくお金を使わないように、授業や演奏のアルバイトのない日は、あまり出歩かないようにしていた。

僕が下宿していたアパートはとても家賃が安いのにしっかりした 2 階建ての鉄筋のアパートで、目の前には田んぼが広がっていて、とても見晴らしが良かった。
しかも、手すりの付いたしっかりした屋上があった。

僕は、朝起きると、屋上に折りたたみのサマーベッドを出して、寝転んで本を読んだ。青々とした田んぼをわたって来る風に吹かれながら、アパートの屋上でベッドに寝転んで読書をすると、なんとも言えない贅沢な気分になれた。

蝉の声のボリュームが大きくなって、腹が減ってきたら、屋上から降りてきて 1 階にある洗濯機のホースを外して水浴びした。ほとんど人も通らないし、目の前は田んぼだし、誰にも気兼ねしなくてよかった。

僕は、濡れた服を着たまま、つま先歩きで部屋に入って、タオルを取り、冷蔵庫から“貴重な”缶ビールを 1 本とスーパーの安売りで纏め買いしたソーセージを出して屋上に上がり、サマーベッドに座って、T シャツと短パンを自然乾燥させながら、“いつもの”簡単なランチにした。

僕の頭の中では、「カリフォルニア・ガール」がエンドレスでぐるぐると回っていた。

それは、今思い出しても、最高の夏のランチだった。
　　
　

　　・・・

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         <link>http://lost-and-found.seki.net/2009/07/post_34.html</link>
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         <category>夏なんです</category>
         <pubDate>Sun, 26 Jul 2009 22:22:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>象との夏。　あるいは、スウィート・ホーム・アラバマ</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://weblog.seki.net/image/beer_elephant.jpg">　
　
　
「ビールが美味い季節になってきたね」 と僕が言った。

「まぁ、僕の故郷では年中こんな感じさ」 と象は教えてくれた。

「夏が来ると、故郷が恋しくなったりしないかい？」

「年中、恋しいさ。でも、ここでこうやっているのも悪くはないよ。
暑い夏が来てビールを飲んだら、どこにいても君は僕のことを思い出してくれるだろう？
もし僕が忘れられて箪笥の隙間に落っこちて埃だらけになっていても、
きっと君は僕を思い出して、一所懸命探して見つけ出してくれるはずさ。
そうして、また一緒にビールを飲んでくれるだろうからね」

「もちろんだよ。君は僕の夏の一部だからね」

僕はそう言って乾杯し、ラジオから流れてくるレイナード・スキナードの「スウィート・ホーム・アラバマ」にあわせて歌った。

網戸越しに入ってきた風が部屋のカーテンを揺らした。

扇風機はゆっくりと夏の空気をかき混ぜていた。
　
　
　　・・・

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         <link>http://lost-and-found.seki.net/2009/07/post_13.html</link>
         <guid>http://lost-and-found.seki.net/2009/07/post_13.html</guid>
         <category>夏なんです</category>
         <pubDate>Sun, 26 Jul 2009 22:00:00 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>対</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://weblog.seki.net/image/20070608_P0002.jpg">
<br/>
　
僕たちは結局、梅雨を一緒に過ごすことはなかった。
それから、梅雨は僕の中でどこか現実感がない季節になった。
なにかが抜け落ちてしまったそんな感じ。
たとえば、セリフの分からない古い無声映画をただ眺めているような感じだ。

　　・・・

「実はね、僕は存在しないんだよ。」

僕はエアコンの効きがいまひとつ良くないカフェで独り言を言ってみた。
なんとなくそう思ったのだけど、自分でもその意味を掴みかねていた。

原稿を書くのに疲れてきていたので、注文したハイネケン（それしかビールがなかったのだ）とナッツが来るまで、少し休むことにした。

外では細かい雨が降り始めていた。
僕は、コンクリート塀の乾いた白い部分が形を変えながら少しずつ小さくなっていくのをぼんやり眺めていた。
コンクリート塀がすべて雨の色に変わってしまうと、今度は誰もいないテラス席のテーブルに落ちた雨粒がくっついて大きな水滴になっていくところを理由もなく凝視していた。

　　・・・

「お待たせいたしました。」

僕はハイネケンを運んできてくれた女の子の声でふと我に返った。

ハイネケンを半分くらい一気に飲んでから、ピスタチオの殻を “自分のために” 剥いたときに、僕はすべてを理解した。
とても単純なことだった。
宇宙はすべて“対”でできていて片方だけでは存在できないのだ。
　 
　
　　・・・

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         <link>http://lost-and-found.seki.net/2009/07/post_33.html</link>
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         <category>雨の日の午後</category>
         <pubDate>Wed, 08 Jul 2009 14:22:15 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>過去の人、過去のこと。</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://weblog.seki.net/image/20080701_F2141.jpg">
　
僕は、あのときからずっとここにいる。
どこにも行けない。
誰もやってこないし、誰も出て行かない。

僕は過去の人。
ここは過去の国。
　　
　
　　・・・

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         <link>http://lost-and-found.seki.net/2009/07/post_35.html</link>
         <guid>http://lost-and-found.seki.net/2009/07/post_35.html</guid>
         <category>夏の始まり、春の終わり</category>
         <pubDate>Sun, 05 Jul 2009 09:58:36 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>上昇気流</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://weblog.seki.net/image/20070606_F0015_1.jpg">
<br/>

　　・・・

入梅 (つゆいり) 前のからっと晴れた日に T シャツを干すことくらい気持ちの良いことって他にあるかな？

　　・・・

入梅前の晴れた金曜日、僕は君が会社に行くのを見送ってから、部屋の窓とカーテンを全開にして、洗濯機に洗濯物を放り込んだ。

コーヒーメーカーでコーヒーを落としながら、仕事の準備をする。
公園の上を通り抜けた風が勢いよく部屋の中に入ってきた。

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洗濯物を干し終わってから、僕は落としたてのコーヒーで作ったアイスコーヒーを持ってベランダに出て、ぼんやり外を眺めた。

「ちりん、ちりん。」

自転車のベルの音が小さな音で聞こえてきた。
下を見ると、公園に植えられた楠の幹の隙間から、公園沿いの道をゆっくり走っていく自転車が見えた。

時折、少し強い風が吹いて、洗濯物がひらひらとなびき、かすかに洗剤の匂いが周りに漂った。
僕はパリッと乾いた T シャツを想像し、君と二人で T シャツをひとつひとつたたんでクローゼットにしまうところを想像して、幸せな気持ちになった。

空は、これからもずっとこんな気持ちでいられることを約束してくれているかのように気持ちよく晴れていた。
遠くでトンビがサーマルを捕まえて気持ちよさそうに、くるっくるっと回っていた。

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結局、その約束は守られないことを知ったのは、その少し後だった。
　
　
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         <category>乾いた風の吹く日に君と</category>
         <pubDate>Mon, 08 Jun 2009 11:00:00 +0900</pubDate>
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         <title>ある晴れた春の日の午後について</title>
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その年の春の晴れた日の午後、免許を取り立ての小僧だった僕は、知り合いの自動車工場から譲ってもらったボロボロのニッサン スカイラインをドライブして、国道 8 号線を西に向かっていた。

FM ではヴァン・ヘイレンの「ジャンプ」が流れていた。

何の根拠もなく、やがて来る未来には明るい日々が待っていると、多くの人が信じていた時代だったし、僕もそう思っていた。

国道8号線は、西へ西へとまっすぐ続いていく。

僕は、車の窓をフルオープンにして、お世辞にもハイフィデリティとは言えないカーステレオの音量を上げて、デイヴ・リー・ロスと一緒に歌った。

<blockquote>「ジャンプ！」</blockquote>

国道沿いに広がる畑から、時折ひばりが飛び立つのが見えた。
耳を澄ませば、レンゲにとまる蜂の羽音まで聞こえてきそうな、のどかな午後だった。

そうして、僕は１つ歳を取った。
　
　
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※ このブログは<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に不定期で掲載しています。
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         <link>http://lost-and-found.seki.net/2009/05/post_31.html</link>
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         <category>夏の始まり、春の終わり</category>
         <pubDate>Fri, 15 May 2009 23:55:28 +0900</pubDate>
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         <title>晴れた休みの日には</title>
         <description><![CDATA[<img src="http://weblog.seki.net/image/2060927_0001_sad_fine_day.jpg">
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晴れた休みの日は、いつものように公園に行こう。

お財布と帽子とカメラを持ったら準備完了。
服なんて適当でいいよ。

ドアを開けると、乾いた風がふわっと部屋を吹き抜ける。

<blockquote>「きもちいいねー。」</blockquote>

君は目を細めながら、外を見て言う。
外は初夏の明るさだけど、風にはまだ冷たい空気が混じってる。

ひんやりした廊下でなかなか来ないエレベーターを待つ時間も、君とこうしていられるだけで特別気持ち良く感じる。

<blockquote>「どうしてそんなににこにこしているの？」</blockquote>

君は不思議そうに言う。

<blockquote>「エレベーターを待っているのが楽しいから。」</blockquote>

僕がそういうと、「あなたはほんとに変な人」と言って君は笑う。

<blockquote>「わたしね、あなたの笑顔を見るのが好き。とても優しい気持ちになれるの。」</blockquote>

君は少し考えてから、そう言った。

廊下から見る空はとても明るくて、このまま飛び立てるような錯覚に陥りそうになる。街路樹の影は昨日より少し短く濃くなっているような気がした。

エレベータの階数表示がもうすぐ僕らの階に到着することを知らせている。
僕が映画の中に住んでいて今がエンディングなら、どれだけいいだろう、と思った。


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あれから、僕はあのエレベーターには乗っていない。
あのエレベータは今も誰かを運んでいるのだろうか。
あの廊下に吹く風は今もひんやりしているのかな。
　　
　　
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※ このブログは<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は<a href="http://weblog.seki.net/" target="_blank"><font color="#FFFF00">「土曜日、公園にて」</font></a>に不定期で掲載しています。
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         <link>http://lost-and-found.seki.net/2009/05/post_29.html</link>
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         <category>晴れた休みの日には</category>
         <pubDate>Fri, 01 May 2009 15:46:02 +0900</pubDate>
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