過去の人、過去のこと。

僕は、あのときからずっとここにいる。
どこにも行けない。
誰もやってこないし、誰も出て行かない。
僕は過去の人。
ここは過去の国。
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※ このブログは「土曜日、公園にて」に以前掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は「土曜日、公園にて」に不定期で掲載しています。

僕は、あのときからずっとここにいる。
どこにも行けない。
誰もやってこないし、誰も出て行かない。
僕は過去の人。
ここは過去の国。
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※ このブログは「土曜日、公園にて」に以前掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は「土曜日、公園にて」に不定期で掲載しています。

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その年の春の晴れた日の午後、免許を取り立ての小僧だった僕は、知り合いの自動車工場から譲ってもらったボロボロのニッサン スカイラインをドライブして、国道 8 号線を西に向かっていた。
FM ではヴァン・ヘイレンの「ジャンプ」が流れていた。
何の根拠もなく、やがて来る未来には明るい日々が待っていると、多くの人が信じていた時代だったし、僕もそう思っていた。
国道8号線は、西へ西へとまっすぐ続いていく。
僕は、車の窓をフルオープンにして、お世辞にもハイフィデリティとは言えないカーステレオの音量を上げて、デイヴ・リー・ロスと一緒に歌った。
「ジャンプ!」
国道沿いに広がる畑から、時折ひばりが飛び立つのが見えた。
耳を澄ませば、レンゲにとまる蜂の羽音まで聞こえてきそうな、のどかな午後だった。
そうして、僕は1つ歳を取った。
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※ このブログは「土曜日、公園にて」に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は「土曜日、公園にて」に不定期で掲載しています。

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その年のゴールデンウィークが、僕たちにとっての最初のゴールデンウィークだった。
僕たちは、ドライブに行く予定を立てたのだけど、ひどい渋滞に巻き込まれ、結局、途中で帰ってくる羽目になった。
それから僕たちはどこに行くのもあきらめて、部屋で映画を見たり、散歩に出たりして過ごすことにした。
ヴィデオのレンタルショップまで、僕たちはいつも通る表通りではなく、1つ入った裏通りをぶらぶら歩くことにした。
まったく普通の、どうってことない路地だ。
一人で歩いていたら、なんと言うこともなく通り過ぎてしまうところだけど、二人で歩くといろんな発見があった。
僕たちは路地にあるいろんなものを写真に撮り、こっちの方から撮った方が良いだの、もっと近づいた方が良いだの、と言いながら、ぶらぶら歩いた。
途中ですずめの変な鳴き声に大笑いし、風変わりな店の看板を見て勝手に商売の内容を創作したりした。
帰り道、僕たちはコンビニエンスストアでコロッケを買い、近くの公園で並んで座って食べた。僕たちは、公園にいる鳩の行動を観察し、臆病なカラスと物怖じしない野良猫の対決を観戦した。
少しはなれたところで、親子がキャッチボールをしていた。遠くから微かにセスナ機のプロペラの音がする。
「あ、風船。」
君が指差す方向を見ると、遠く小さく、たくさんの風船が空に吸い込まれていくのが見えた。
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晴れた穏やかな風の吹く休日。
こんな時間がいつまで続くのか分からなかったけど、僕たちは(少なくとも僕は)、この時間がずっと続くように祈っていた。
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※ このブログは「土曜日、公園にて」に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は「土曜日、公園にて」に不定期で掲載しています。

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「しまっていこー」
こんな晴れた春の日は野球がしたくなる。
遠くで、昼のチャイムがなってる。
風は少し甘くて不透明な匂いがした。
※ このブログは「土曜日、公園にて」に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は「土曜日、公園にて」に不定期で掲載しています。