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最高の夏のランチ、あるいは、カリフォルニア・ガール



 
 
その年の僕の夏は、デイヴ・リー・ロスの歌う「カリフォルニア・ガール」で始まった。

僕は、単位を 2 つだけ残して留年していて、週に 1 回大学に行けばいいだけ、という暮らしを半年していた。仕送りを止められていたので、なるべくお金を使わないように、授業や演奏のアルバイトのない日は、あまり出歩かないようにしていた。

僕が下宿していたアパートはとても家賃が安いのにしっかりした 2 階建ての鉄筋のアパートで、目の前には田んぼが広がっていて、とても見晴らしが良かった。
しかも、手すりの付いたしっかりした屋上があった。

僕は、朝起きると、屋上に折りたたみのサマーベッドを出して、寝転んで本を読んだ。青々とした田んぼをわたって来る風に吹かれながら、アパートの屋上でベッドに寝転んで読書をすると、なんとも言えない贅沢な気分になれた。

蝉の声のボリュームが大きくなって、腹が減ってきたら、屋上から降りてきて 1 階にある洗濯機のホースを外して水浴びした。ほとんど人も通らないし、目の前は田んぼだし、誰にも気兼ねしなくてよかった。

僕は、濡れた服を着たまま、つま先歩きで部屋に入って、タオルを取り、冷蔵庫から“貴重な”缶ビールを 1 本とスーパーの安売りで纏め買いしたソーセージを出して屋上に上がり、サマーベッドに座って、T シャツと短パンを自然乾燥させながら、“いつもの”簡単なランチにした。

僕の頭の中では、「カリフォルニア・ガール」がエンドレスでぐるぐると回っていた。

それは、今思い出しても、最高の夏のランチだった。
  
 

  ・・・

※ このブログは「土曜日、公園にて」に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は「土曜日、公園にて」に不定期で掲載しています。

コメント

お~っ!それは確かに最高のランチですね(笑)うらやましい!

あと、この写真いいですよね~。こーゆーの好きです。

KAZU さん、こんばんは!
こちらにもコメントありがとうございます。

最高のランチでしょ?
ホント、どんなごちそうより贅沢でした。


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