アイスコーヒーによって導かれる記憶の輪郭について
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どうしてもアイスコーヒーが飲みたくなったので、切らしていた豆を買出しに出た。
家に戻った僕はコーヒー豆を挽いて落とし、氷を一杯入れた銅のマグカップに注いだ。
氷がカップの中で「ちりちり」と音を立てて解けた。
アイスコーヒーを三分の一くらい飲んでから、僕は床に寝転がり、目を閉じて、あの年の夏を思い出していた。
光はどこまでも白くて、空はどこまでも青くて、君はどこまでも素敵だった。
こうしていると、目を開けたら隣に君がいて、凍らせたタオルを僕の額にあてて、「気持ちいいでしょ?」って笑っているんじゃないか、って思えるくらいに今でもはっきりとした輪郭を持って戻ってくる。
少し風が出てきたのかな。
レースのカーテンがさらさらと音を立ててるのが聞こえる。
網戸越しに入ってくる風は、少し夕立の匂いがした。
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※ このブログは「土曜日、公園にて」に以前掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は「土曜日、公園にて」に不定期で掲載しています。
コメント
こんにちは、渋谷ナオです。
お話読ませて頂きました。なんというか、血がざわつきました。こういったものに出会える機会は滅多にないので、今興奮しています。
文章に独特な匂いのようなものがあって、それに感性のどこかが強く刺激される気がします(むせ返るような夏草の匂いに包まれた時と同じのような)。
どのお話も魅力的ですが、個人的には特に「近況報告」が好きです。
読んでいるうちに、わたしも創作意欲をかき立てられました!
また遊びに来ます。
投稿者: 渋谷ナオ | 2007年07月04日 18:33
ナオさん、こんばんは!
ちょっと仕事がばたばたでお返事遅くなってすみません。
とても嬉しいですが、でも、ちょっと褒めすぎです(笑)
僕もナオさんの新作、とても楽しみにしています。
(桜上水駅前シリーズもあわせて楽しみにしてます(笑))
投稿者: hirobot | 2007年07月04日 23:09
お仕事お疲れ様です。わたしもコメントの返事が遅くなってしまう方ですので、全然気になさらないでください。
ちなみに、来週の月曜日から新作の連載をスタートさせる予定ですので、よかったらまたお時間のある時に覗きに来てください☆
p.s.
lost + found を膜のはなしにリンクさせていただきました。
投稿者: 渋谷ナオ | 2007年07月06日 14:11
ナオさん、こんばんは!
またまたお返事遅れてごめんなさい。
リンク、本当にありがとうございます。ただ、こちらのブログが当方の都合でリンクが置けないのです。
せっかくリンクいただいたのに本当にすみません。
別の方法でリンクさせていただけるよう考えておりますので、今しばらくお待ちくださいませ。
投稿者: hirobot | 2007年07月06日 22:57
アイスコーヒーが上手く夏の空気感を表現してますね、
毎度ながら文章の書き方、
勉強になります。
少し涼しくなりつつある秋、
もう一度暑い中でアイスコーヒーが飲みたくなります。
投稿者: 柊 | 2007年09月13日 23:18
柊さん、こんばんは!
コメントありがとうございます。
> もう一度暑い中で
い、いえ・・・もう暑いのはいいです(-_-;)
投稿者: hirobot | 2007年09月14日 00:07