晴れた休みの日には
・・・
晴れた休みの日は、いつものように公園に行こう。
お財布と帽子とカメラを持ったら準備完了。
服なんて適当でいいよ。
ドアを開けると、乾いた風がふわっと部屋を吹き抜ける。
「きもちいいねー。」
君は目を細めながら、外を見て言う。
外は初夏の明るさだけど、風にはまだ冷たい空気が混じってる。
ひんやりした廊下でなかなか来ないエレベーターを待つ時間も、君とこうしていられるだけで特別気持ち良く感じる。
「どうしてそんなににこにこしているの?」
君は不思議そうに言う。
「エレベーターを待っているのが楽しいから。」
僕がそういうと、「あなたはほんとに変な人」と言って君は笑う。
「わたしね、あなたの笑顔を見るのが好き。とても優しい気持ちになれるの。」
君は少し考えてから、そう言った。
廊下から見る空はとても明るくて、このまま飛び立てるような錯覚に陥りそうになる。街路樹の影は昨日より少し短く濃くなっているような気がした。
エレベータの階数表示がもうすぐ僕らの階に到着することを知らせている。
僕が映画の中に住んでいて今がエンディングなら、どれだけいいだろう、と思った。
・・・
あれから、僕はあのエレベーターには乗っていない。
あのエレベータは今も誰かを運んでいるのだろうか。
あの廊下に吹く風は今もひんやりしているのかな。
・・・
※ このブログは「土曜日、公園にて」に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は「土曜日、公園にて」に不定期で掲載しています。
コメント
悲しい位にきれいな青空。
きれいなものを目の前にするとなぜか悲しくなります。
それはきっと自分の心がきれいじゃないからなのかもしれません。
素敵なお話ですね。
日常の些細な事も、どんな景色も、そこに一緒にいる人で見方が変わるんですね。
投稿者: Anonymous | 2008年05月01日 10:24
「匿名」さん、コメントありがとうございます。
ちょっとびっくりしました。
というのも、僕はこの写真のタイトルに「かなしいほどあおぞら」っていうタイトルを付けていたのです。
きれいなものを見ると僕も悲しくなります。
それはきっと大切なものをなくしてしまったからだと思います。
そう思いませんか?
投稿者: hirobot | 2008年05月01日 10:34
おや?
ブログアーカイブ版なんですね?
何でもないような日々が
いちば〜〜ん
心に残っちゃうもんですよね。
また、きっと大切なものを
見つけられるといいですね(^^)
投稿者: ぢゃこ | 2008年05月20日 17:05
じゃこさん、こちらにもコメントありがとうございます!
こちらの方は、あまり訪れる人もいないので、ひっそりやってます。
(まぁ、アーカイブなので、それが普通でしょうけど。)
そうそう。なんでもないようなことが一番心に残っている、ってこと多いですよね。
忘れていたつもりなのに、何かの拍子にふと思い出して、立ちすくんで動けなくなってしまうこと、よくあります。
また見つかるかな。
投稿者: hirobot | 2008年05月20日 19:00
この空の色と緑の色素敵ですね :-) こういう写真撮れるようになりたいです。また今度写真談義お聞きしたいです !
投稿者: akipponn | 2009年06月08日 14:21
*** akipponn さん ***
こんにちは。
コメントありがとう。
うんうん。写真の話しよう!
語るよー。俺(笑)
覚悟しててね。
投稿者: hirobot | 2009年06月08日 14:27