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でこぼこ



僕たちはどちらかと言えば外出するより部屋にいる方を好んでいたので、週末はいつも部屋でごろごろしていた。だから、近所のお散歩が休みの日の僕たちの最大のイベントだった。

お散歩といっても、近所をぶらぶらして、写真を撮り、公園でノラネコとハトを見ながら自販機で買った飲み物を飲むくらいだったけど、それだけでとても満たされた気持ちになれた。
僕らは近所を一通りパトロールし終わると、いつも公園の入り口にある自販機で飲み物を買った。

  ・・・

僕がポケットから小銭を出して自販機に入れていると、それを見て君が言った。

「いつも思うんだけど、ちょうどの金額しか持ってこないの?」
「うん。だって邪魔だもん。」
「もし、受け付けてくれないコインがあったらどうするの?」
「ほんとだね!」

僕が感心してそういうと、君はあきれ笑いをしながら、なにそれ、と言った。

「あなたって、すごく良く考えていることもあるのに、びっくりするくらい何も考えていないところもあるよね。」

僕は、照れ笑いをしながら、温かい烏龍茶のペットボトルを取り出し口から出してキャップを開け、君に渡した。君は、ありがとう、と言ってから、僕をじっと見て言った。

「あなたって、本当にでこぼこよね。」

  ・・・

僕たちは公園に続く小経を縦に並んで歩いた。

でごぼこで、いびつな形の僕は、躓かないように注意しながら、君と青空と茶色くなった葉っぱが少しだけ残る公園の木を順番に見ながら、歩いた。

さっきまで真っ青だった空には、少しだけすじ雲がかかっていた。

僕たちの秋は、そうやって少しずつ冬に向かって進んでいた。

その冬は、最後の “いつもどおりの冬” になった。

  ・・・
 

※ このブログは「土曜日、公園にて」に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は「土曜日、公園にて」に不定期で掲載しています。

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作者 “hirobot” について

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