ピスタチオ
天気の良い土曜日には、公園の見えるバルコニーに、折りたたみの椅子を2つと、
小さなテーブルを出して、小さなラジカセで“Saturday In The Park”をかけよう。
僕はビールを飲みながら、ピスタチオを袋から出して、ぱちぱちっと殻を取る。
君は僕の隣に座って、僕が殻を取ったピスタチオをつまんで、ぱくっと食べる。
「このまま人生が終わればいいのにね」と僕が言う。君は、
「まだたくさんピスタチオが残ってるわ」と言う。
・・・
部屋の中から漂ってくる夕飯のカレーの匂いで目が覚めた。
ベランダの窓から部屋の中を覗くと、キッチンから君の声がした。
「あまりにも気持ちよさそうに眠っていたものだから」椅子とテーブルとビールの空き缶を片付けながら、下の公園を見ると
キャッチボールをしている親子の影が、佐々木マキの挿絵のように長く伸びていた。
・・・
※ このブログは「土曜日、公園にて」に掲載した“お話”を修正・加筆したものです。最新の“お話”は「土曜日、公園にて」に不定期で掲載しています。
コメント
あ、このお話夏の匂いがしてすごく好きです♪
投稿者: ayumi | 2007年06月15日 20:13
ayumi さん、コメントありがとう!
気に入ってくれて嬉しいよ!
この文章の元を書いたのも初夏だったから、ちょうどその頃の匂いがするのかもね。
投稿者: hirobot | 2007年06月15日 20:18